伝説の勇者の伝説8

驚異的な改行頻度でページの下のほうがスカスカだとか述部省略が目立つとかの文句は置いておいて、割と好きな作品。迫害される異能者とか懸命な王とその忠臣やらが俺的にツボ。

ここ何巻かで強調していた「ルークが実は凄い」のネタが終に明かされ、大方の予想通り手札が不利でも頭脳で覆す戦略家型っぷりが発揮した。余力を残しつつも作品内の戦力ヒエラルキーでルシルや暴走ライナに次ぐくらいの上位に踊り出る。フィクションで強者を描く場合に書き手の技量が相当問われるタイプだと思うのだが、まあハッタリが効いててよかったのではなかろうか。

前巻登場で主人公含め他を圧倒した魔眼持ちとその組織の底の浅さがソッコー露呈。超越者と強がり、侵略行為を始めるのかと思いきや迫害から自分たちの生存権を防衛するのでイッパイイッパイが実情な模様。おかげさまで今まで表面上は飄々としつつグチグチ悩みながらも何も結論がでてなかった主人公が戦うべき敵を、果たすべき目的を何とか見出だした。
しかしながら、主人公に敵にばっちり認定されたガスタークもなにやらのっぴきならない事情があるらしい。被差別者ゆえに夢想せずにはいれなかった主人公の理想郷にすんなり近づくとはいかないだろうし、そうあってほしい。絶望に慣れすぎ、守る事で精一杯の主人公は状況に流されてばかりで自分では何もしていないし、それを冒頭のルークは斬って捨ててるわけだし。

あとがきで「10巻までがんばる」とあるのだがこれはこのシリーズが10巻で完結するということかね。だとしたらまだ伏線がたくさんあるのにあと2冊でまとまるのだろうか疑問ではある。